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嫌われる勇気はなぜ人気?9つの理由を著者の岸見さんのインタビューから整理

嫌われる勇気人気理由

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『嫌われる勇気』が発売されたのは2013年12月ですが、その後も異例のロングセラーを続け2020年時点ではシリーズ累計700万部(国内228万部、世界500万部以上)の大ヒットを記録しています。

この本は「人生を一変させるほどの衝撃がある」と話題になり、後にアドラー関連本も続々と発売されアドラー心理学に世間的に注目が集まるキッカケともなった書籍ですね。

 

嫌われる勇気引用:amazon.co.jp

 

なお、『嫌われる勇気』の出版社である幻冬舎から出版された『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(2009年・岩崎夏海著)は国内発行部数は275万部でトップですが、海外も含めれば『嫌われる勇気』が歴代1位になります

ちなみに、『嫌われる勇気』が2013年に発売時の爆発的ヒットの後で2020年上半期に再び売上ランキングの2位に返り咲いたことの凄さの例え話として、2013年同時期のヒット曲であったAKB48の『恋するフォーチュンクッキー』が2020年時点でも人気ランキングのトップ3にランクインしているのと同じような凄さであると解説している方もいます。

この例えは、出版業界に詳しくない方でも分かりやすい面白い例えですよね(笑)

 

これらの実績も踏まえやはり気になるのは、なぜ『嫌われる勇気』がこれ程までのベストセラー&ロングセラー作品として長きにわたり多くの人々に支持されるのかということでしょう。

社会に多大なる影響を与え続ける大きな炎が、その勢いを弱めることなく燃え続ける秘訣は一体全体どこにあるのでしょうか?

今回はこのような事について、表面的なテクニック的ハード面と、もっと本質的な根本にあるエッセンス的なソフト面とに分けて、著者のお一人である岸見一郎さんのインタビューなども参考にしながら9つに整理することで様々な角度から掘り下げてみたいと思います。

 

1.対話形式である

嫌われる勇気人気

 

まず、一番わかりやすいテクニック的な面として挙げられるヒットの理由が、『嫌われる勇気』が対話形式の構成をとった書籍であるという点ですね。

この本は、アドラー心理学を学んだ哲学者と悩める青年の対話という形で書かれているものです。

したがって、ある種の小説のような形で読めて物語のようにストーリー性を持たせている点が、それほど読書をしない人々にとっても読みやすかったことがこの書籍が大勢に人に受け入れられた理由の一つと言えるでしょう。

 

しかも、この哲学者が青年の悩みに答えるという単調な内容ではなく、哲学者の回答に対して青年が反論したり異論を唱えたりするのも大切なポイントですね。

これは岸見さんご本人がおっしゃられている事ですが、このような形で対話が進むため読者を置いていきぼりにしないだけでなく、読者の質問を青年が代わりにしてくれるため読者は途中で突っかかることなく先を読み進められるという側面があります。

また、これにより、書籍内でもアドラー心理学の本質がより深く掘り下げられ、なおかつ読者は自分の日常生活における実際の問題や悩みと重ね合わせることができるという事も大きいポイントです。

言うまでもなく、どれだけアドラー心理学を学んでもそれを実生活で自分事として活かせなければ、ただの机上の空論としての情報に成り下がってしまいますからね(笑)

ちなみに、岸見さんはもともとの専門は哲学であり、古来より哲学書には対話形式のものが多く、岸見さんが特に専門とされているプラトン哲学においてもソクラテスを主人公にした対話篇がたくさん書かれていることなども参考にされたようです。

 

いずれにしろ、このような意味において『嫌われる勇気』はとても読みやすい工夫がされている上に、読者が反発心や反感を抱きにくいスタイルをとっていることが一つ目の理由ということになります。

 

ちなみに、広い意味では先ほど登場した『もしドラ』や、これらよりも少し前に大ヒットした水野敬也さん著の『夢をかなえるゾウ』などにも同じような工夫を感じ取ることができると思います。

「活字離れ」「文字離れ」ということが問題視もされて久しい昨今においては、一冊の本を読者に読んでもらいメッセージをちゃんと受け取ってもらうためには、特にこのような試行錯誤が必要なのかもしれませんね。

 

2.難しい言葉を使わない

嫌われる勇気

 

『嫌われる勇気』の大ヒットの背景にある二つ目のテクニック的な側面における理由が、難しい言葉があまり使われていないということです。

これも岸見さんご自身が述べられていることですが、現代の哲学者が書く本はとても難解であり、読んでいると知らない単語が多く出てきてしまうためにそこで多くの人がつまずいてしまう一方で、先ほども登場した岸見さんが研究されているプラトンの本には言葉の難しさがないそうです。

それと同様に、アドラーもほとんど専門用語を使わないという特徴もあります。

したがって、アドラーとプラトンは難しい専門用語を使わない点で似ていると岸見さんはおっしゃられています。

このポイントも、『嫌われる勇気』が大ヒットした理由の一つであり、一つ目の理由と同じく読者目線での読みやさを心掛けたものですよね。

 

言うまでもなく、内容的には読みたい本があっても、それが漢字だらけだったり知らないカタカナが頻出するような本では読むことが苦行になります(笑)

もちろん、そのような書籍だからこその良さや伝わることや味わいというものもあるのですが、先ほども述べたように時代の流れとしてはどんどん逆の方向に進んでいることは事実でしょう。

一説によると、LINEやTwitterなどのSNSの登場により、僕たちは長文が読めなくなってきているという説もあり、世代が若くなるにつれその傾向は顕著だという意見もあります。

事実、有名なブロガーさんなどはこの事を考慮して、できるだけ「。」を多用し長文を短文に切り分けることを意識していらっしゃる方もいます。

むろん、そのような読み手の立場に立った文章表現が更に読み手の読解力を下げるという側面もあるとは思いますが、読みやすさで言えば確実にこのような工夫は必要だと言えると思います。

このような意味においては、一つ目の対話形式であることも文章が長くなりにくいというメリットがあるとも言えるかもしれません。

 

いずれにしろ、こういった時代の流れも敏感にキャッチし、読み手が受け取りやすい創意工夫をしている点が、二つ目のテクニック的な側面になります。

 

ちなみに、SNS関連の話で言えば、これも岸見さんがとあるインタビューで語られていたことなのですが、『嫌われる勇気』のヒットの背景には、多くの人々に「誰かに薦めたい」と思ってもらえたことが大きかったのではないかとの推測もされていました。

これは、SNSによる拡散という今の時代を象徴する話ですよね。

また、現代人の多くが書籍を買う際にはAmazonなどのネット経由で買うようになり、その中でレビューを参考にする割合が大きくなっていることも関係しています。

書籍の存在を知り、レビューを読み興味をもったことで購入した人が、読書後にまたレビューを書くというサイクルが生まれたことが、超ロングセラーにつながったとも岸見さんは考察されています。

主にマーケティング的な世界では有名な購買行動に「AIDMA」という(①Attention:注意・注目⇒②Interest:興味関心⇒③Desire:欲求⇒④Memory:記憶)という法則に代わるものとして登場した「AISAS」(①Attention:注意⇒②Interest:興味関心⇒③Search:検索・情報収集⇒④Action:購入⇒⑤Share:共有)は、まさにこのことですね。

ちなみに、最近は更に「AISCEAS」や「AIDCAS」、あるいは「SIPS」や「RsEsPs」といった法則もあるようです(笑)

AmazonのレビューのシステムもSNSの存在もそうですが、このようにいわゆるインターネットマーケティング的な視点で『嫌われる勇気』のヒットの理由をより深く考察してみるのも面白そうですね。

 

いずれにしろ、本は読まれなければ広まらないという当然のことも踏まえると、『嫌われる勇気』のヒットに背景にある一つの要因として「難しい言葉を使わない」という読みやすさがあるのでしょう。

 

3.表面的なノウハウ本ではない

嫌われる勇気

 

さて、ここまで見てきた二つのヒット理由は、どちらもいわゆるハード的な側面と言えるテクニック的なものでした。

これらの理由が『嫌われる勇気』の爆発的ロングヒットの背景にあることは事実と言えそうですが、はたしてそれだけでこれほどまでのセールスを記録できるのでしょうか?

ということで、これ以降はテクニック的なものではなくもっと本質的なソフト面とも言えるような側面からヒットの理由を考察してみたいと思うのですが、そのひとつ目が『嫌われる勇気』が表面的なノウハウ本ではないということについてです。

 

このことも岸見さんがご自身が述べられていることなのですが、アドラー心理学と似ている心理学はこれまでもあったものの、アドラー心理学とその他の心理学との決定的に異なっている点が哲学的な要素が有るか無いかだとおっしゃられています。

仮に提唱する結論が同じようなものであったとしても、哲学があるかないかでそこに至るプロセスが違うと岸見さんは述べています。

そういった意味では、アドラー心理学はある種の哲学でもあり、その点を理解されている岸見さんが書いたからこそ『嫌われる勇気』はしっかりとその哲学的な内容を帯び、その深みに読者が惹きつけられたことで長きにわたり大勢に人々に支持されるようにもなったと言えるでしょう。

 

ちなみに、岸見さんご本人は、いま巷に溢れているほとんどのアドラー関連書籍はアドラー心理学の哲学をしっかりと理解せずテクニックとして語っているだけなのかもしれないとも述べられています。

 

つまり、他のアドラー本と『嫌われる勇気』の大きな違いはアドラー心理学の「哲学」という側面をしっかりと包み込めているかどうかであるということです。

むろん、『嫌われる勇気』がアドラー心理学のパイオニア的な存在であるということも他のアドラー本との売れ行きの違いでもあるかもしれませんが、少なくとも一冊の書物の奥行きや深みという質の面において『嫌われる勇気』に勝るアドラー本が登場していないということは事実として言えることなのかもしれません。

少なくとも、もし仮に『嫌われる勇気』が哲学的なエッセンスのないどこにでもあるようなハウツー本やノウハウ本だったとしたら、ただの一発屋のようなヒットで終わっていたように思います。

 

言い換えれば、『嫌われる勇気』がこれほど長く大きな炎を燃やし続けられている火種には、「哲学」という僕たちの根本に問いかける要素の存在があるのでしょう

 

そして、四つ目のヒットの理由は、実はこれと関連する内容になっています。

 

4.人類の普遍的な悩みをテーマにしている

嫌われる勇気

 

先ほどの三つ目の理由である哲学的な深みということに関連する四つ目の理由が、そのテーマが人類の普遍的な悩みを取り扱っているということです。

言い換えれば、『嫌われる勇気』の中心に据えられているメッセージが普遍性のあるものであるが故に、大勢の人がその内容に共感できるということです。

この事に関しては岸見さんは、『嫌われる勇気』はアドラー心理学を紹介する本であるものの、心理学の本というよりも「哲学書」という認識をご本人が持っていると明確におっしゃられています。

 

また、岸見さんはとあるインタビューの中で、哲学は「人はいかに生きるべきか」や「幸福とは何か」ということをテーマする古代から脈々と受け継がれている学問であると述べられています。

その上で、なぜそれが現代においても学ばれ続けているかというと、紀元前5世紀に生きていた人と現代人の悩みが、それほど大きく変わっていないからであると語っています。

岸見さんいわく、実際に古代ギリシャの本を読んでみると、地理的にも時間的にも物凄くかけ離れているにも関わらず、昔も今も人間というのは同じようなことを考え、同じようなことに悩んでいるそうです。

このため、『嫌われる勇気』は哲学書として一時的なブームでは終わらず、長きわたり読まれ続けるようになったとの考えをもっていらっしゃるようですね。

言うまでもなく、この話にはこれ以上の補足説明はいらないでしょう(笑)

 

また、その哲学という普遍的なテーマについて、岸見さんはこれとは別の側面からも考察されています。

『嫌われる勇気』という本は、日本人が読むと西洋的だと感じ、一方で西洋人が読むととても日本的だと感じるそうで、つまるところ、読み手は皆一様にそれが自国の文化とは異なっているものだと感じるのだと岸見さんは述べています。

その理由として、『嫌われる勇気』のテーマというものが、自分のなかにすでにあったものにも関わらず、読者はそれが存在していることを自分では自覚していなかったからなのではないかと考察されていました。

つまり、人種や文化問わず人に共通する哲学的なテーマを誰しもが自分のなかに持っているのですが、当の本人はその存在を意識していないが故に、それに触れたときには今まで見聞きしてきたものとは違ったものであると感じるということですね。

しかし、その存在は自分のなかにも確かにあるが故に、『嫌われる勇気』を異国の文化だと感じつつも、その内容に惹かれるのでしょう。

 

言い換えれば、自分でも見て見ぬフリをしていたり、今までは存在しないことにしていても問題なかったような事と、『嫌われる勇気』を通して向き合うキッカケが生まれたとも言えるかもしれません。

これは、普段の生活のなかでは薄っすらとその存在をどこかで感じ取ってはいたものの、それはあまりにもはかないものだったので直視したりヒザを突き合わせることがなかっただけで、『嫌われる勇気』という書籍との出会いによって多くの人がそのことを意識的に認識できるようになったと言ってもいいように思います。

 

いずれにしろ、岸見さんは、そのテーマとは、人類が今まで気づくことができなかった対人関係についての普遍的な悩みであり、その答えだと思うと述べていらっしゃいます。

また、その意味で『嫌われる勇気』は、現代に生きる人にとっても100年後の時代に生きる人にとても役に立つ思想だとも語られています。

 

そう考えると、それだけのポテンシャルや可能性というか、普遍的なエッセンスを秘めている書籍が数年にわたりヒットしていることは別に驚くべき事ではないとさえ言えるのかも知れませんね。

 

また、このようなことも考慮して岸見さんは、普遍性があるがゆえに成すことができる意外性も『嫌われる勇気』が多くの人を惹きつける理由にあるのではないかとの趣旨の意見も述べられています。

その事例として、この本を仕事に活かそうとして手にとった人を例に挙げていました。

岸見さんいわく、そのような仕事目的で『嫌われる勇気』を手にした人は、読み進める中でいつの間にか仕事に役立つこととは全く違う方向で読んでいる自分に気付づくことになるのではないだろうかと、笑い半分で語られていました。

しかし、きっとこのパターンの方は意外と多いように思います。

あるいは、この事例のようにビジネス書として仕事に活かすために『嫌われる勇気』を購入した人はもちろん、ただ単に話題になっているという理由で特に明確な目的意識もなく読んでみたという人だって少なくないと思います。

 

いずれにしろ、当初の目的と違えど、そもそもの目的が特に明確でなくとも、実際に読み進めてみるとより本質的なことが語られていることに気付き、自分でも想像していなかった面白みや意義深さを見出してしまうことが、『嫌われる勇気』に潜む魅力なのではないでしょうか。

簡単に言えば、読み出す前とはまったく想定外のところから、掴まれるとは思ってもみなかった自分の根っこの部分を鷲掴みにされるような感覚があるのだと思います。

更に言えば、その根っこの部分は自分でもその存在を知らずにいたものなので、その意外性とパンチ力は倍増どころではないのですね(笑)

 

そういった意味では、青年の反論が読み手の代弁をしてくれていることに先ほど触れましたが、その代弁は読み手の無意識下にあった言葉の代弁でもあったのでしょう。

なおかつ、『嫌われる勇気』という書籍に込められたメッセージ自体も読み手の心の奥底に眠っていた本心の代弁であったとも言えるのかもしれません。

平たく言えば、この本は、自分の本音を浮き彫りにしてくれるのですね。

だからこそ、他の書籍にはないインパクトに多くの人が惹きつけられるのではないでしょうか。

 

なお、岸見さんは『嫌われる勇気』のヒットによって、アドラーの思想に現代がいよいよ追い付きつつあることを実感しているとも述べられています。

ちなみに、その具体的なスパンについては、以前はアドラーの思想は時代を100年も先駆けていると考えていたものの、ここにきてそれが半世紀ぐらいには縮まった印象があるそうです。

このような意味では、長い時を経て現代に生きる多くの人々がアドラーの哲学を受け容れる準備ができたことが『嫌われる勇気』のヒットの背景にあるとも言えそうですね。

もしかしたら、『嫌われる勇気』の出版があと50年早かったら、ここまでのヒット作品となることはなかったのかもしれません。

そう考えてみると、この本はとても今の時代にフィットした本であり、なんなら「この本が時代に呼ばれた」と言った方がより正確な気もします。

 

ちなみに、このような時代性との適合に関して、岸見さんは面白い事例を紹介してくれてもいました。

あるとき、岸見さんのもとに一人の若者が訪ねてきたのですが、彼は有名な国立大学を卒業し大手企業に入社したもの、色々な理由からわずか1カ月でその会社を辞めてしまったのだそうです。

一昔前であれば、「たった1カ月で辞めるなんてけしからん!」「そんなのは根性ナシのやることだ!」「いい会社なのに何て勿体ないことをするんだ!」などと言われ、非難ごうごうの嵐ですよね。

しかし、昨今は終身雇用が崩壊し転職が当たり前になるなどして、仕事観も本当に多様化しています。

むろん、仕事だけでなく、ライフスタイルやジェンダーなどに関しても、価値観はどんどん変化していますよね。

そのような時代の流れがあったことも、現代において『嫌われる勇気』にあるメッセージが多くの人々に受け容れられる土壌となっていたのだと思います。

 

いずれにしろ、そのメッセージに普遍性がなければ、どのような時代であろうとその時代に生きる人々の心を震わせることはできませんよね。

そういった意味でも、『嫌われる勇気』のテーマが普遍的であったがゆえに、激動の時代においてはより一層心に響いてくれるものだったのではないでしょうか

 

5.常識をひっくり返すインパクト

嫌われる勇気

 

さてさて、『嫌われる勇気』がヒットした五つ目の理由が、そのメッセージに常識ひっくり返してくれる絶大なるインパクトがあったということです。

つまり、一つ前のヒット理由と併せて考えると、アドラーの思想と哲学は、普遍的なものでありつつも現代人にとってはある意味で非常識なものであると言えますね。

 

もっとも、これは良い意味での非常識であり、そういった意味ではむしろ普遍的に大切なことを現代人が理解できておらず、本質的なものと現代人の感覚がズレていることの証拠であるとさえ言えると思います。

言い換えれば、現代に生きる僕たちが忘れてしまった大切なことを『嫌われる勇気』は思い出させてくれるということであり、この本のヒットは現代の常識が本質から如何にかけ離れているかということを象徴しているということが言えるのではないでしょうか。

 

実際、『嫌われる勇気』のなかには、いまの世の中では常識だと思い込んでいることを引っ繰り返すような考えがたくさんあります。

その筆頭が、「人間の悩みはすべて対人関係」であったり、「トラウマは存在しない」というものでしょう。

あるいは、「自分の不幸は自分自身が選んだもの」という考えや、「誰でもいまこの瞬間から幸せになることができる」などもそうだと思いますし、それこそここでは挙げ切れないほどの非常識なメッセージがたくさんあります。

 

言うなれば、これらのメッセージが読者の目から鱗を落してくれるのですね。

それまで当然だと信じ切っていた世界が、実は当たり前ではなかったことをこの本が教えてくれているとも言えます。

このことを少し別の言葉で言い換えれば、僕たち現代人の世界観をぐるんとちゃぶ台返ししてくれるようなパラダイムシフトを起こしてくれることが『嫌われる勇気』の魅力の一つなのでしょう。

というか、個人的には先ほどの普遍性の話と併せてこのポイントが一番大切なことなのではないかと思っています。

いずれにしろ、岸見さんご自身はこのことについて、どの国であれその国には自国の伝統的な考え方があるとした上で、『嫌われる勇気』においてはそれとは真逆の考え方が提示されるために一度読めばもはや元には戻れなくなるのだと思うと述べていらっしゃいます。

なおかつ、そのなかで何かしらの抵抗を感じたり、あるいは書籍の内容を実生活で実践することの難しさを痛感したりそれに悩んだりしながら、アドラーの思想はその国ごとに独自で発展をしていくはずであるとも語っておられます。

 

また、岸見さんは、フロイトやユングといった心理学者にインスピレーションを受けた芸術家・作家はたくさんいるにも関わらずアドラーの影響を受けた事例は少ないことに触れた上で、そうは言ってもアドラーの思想は「劇薬」と言われるだけあって、しっかりと学べば非常に面白いものであり、実際に得るものもたくさんあるとの考えもお持ちのようです。

 

そして、劇薬の一つが、「自分の人生なのに、自分の人生を生きていない」ということに気付く衝撃だともおっしゃられいるんですよね。

 

それこそ、この「自分の人生を生きていない」ということは、お国を問わず多くの現代人が無自覚のうちに陥っている問題なのだと思います。

社会の常識に染まり、固定観念や一般常識や社会通念のなかに埋没して生きることで、これほど本質的な問題を自分が抱えていたことにすら僕たちは気付けなくなってしまうのですね。

 

そのような意味でも、人の根本にまつわることであるにも関わらず従来の価値観では非常識とされる本質的な価値に、もう一度光を当ててくれるのが『嫌われる勇気』という本なのではないでしょうか。

言ってしまえば、いまの社会が歪んだ価値観が浸透しきってしまっているよどんだ世界なのだとすると、それを浄化しクリアで純粋な本来の姿に戻してくれるのが、アドラーの哲学であり『嫌われる勇気』という書籍なのかもしれませんね。

 

ちなみに、あるライターの方は、一般的な自己啓発本を栄養ドリンクだと例えるならば、『嫌われる勇気』は抜本的な体質改善を促してくれる「漢方薬」であると表現されています。

つまり、この書籍は人によって効き方の早い遅いがあるものの、しっかりと摂取しさえすればその効果はインスタントな一時的なものではなく、僕たちを根本から治療してくれるものであるということです。

この例えは、素晴らしい表現だなと個人的は思いました。

 

『嫌われる勇気』が漢方薬として世間に浸透し、現代において大勢によって支持されている常識をひっくり返すことで世の中の問題の根本原因を本質的な側面から解決し、世界の姿を描きなおしてくれる日は、もしかしたらそう遠くないのかもしれません。

 

ちなみに、岸見さんいわく、『嫌われる勇気』の出版講演会における質疑応答のコーナーでは、実は小学生たちの方が親以上に鋭い質問をするそうです。

岸見さんはこのことから、将来有望な若い世代が育ちつつあることを感じられるとおっしゃていました。

そのうえで、『嫌われる勇気』が大勢の人々に届いたことで、世の中が変わりつつあることも感じているとも述べられています。

 

このような意味でも、『嫌われる勇気』という本は、僕たちが知らぬ間に陥っている病を根本的に改善してくれる可能性を秘めた心のお薬になるということですね。

 

6.長い時間をかけて作られた

嫌われる勇気

 

さて、この六つ目の内容は、少々切り口を変えた話になります。

『嫌われる勇気』のヒット理由の一つに、本書の制作には非常に長い時間がかけられたという事が挙げられます。

 

この話は、今から約20年前に遡ります。

とある一人の男性が、書店でたまたま手にした『アドラー心理学入門』を読んで、世界がひっくり返るくらいの衝撃を受けました

編集者でもありライターでもあったその男性は、その本の著者と一緒に「アドラー心理学の決定版と呼べる本を作りたい!」と思い立ち、その本の著者が暮らす京都の自宅を訪ねました。

その青年というのが、何を隠そう『嫌われる勇気』のもう一人の著書である古賀史健さんであり、『アドラー心理学入門』の著者がここまで何度も登場してきた岸見一郎さんです。

 

つまり、事の発端は、20年以上も前に古賀史健さんが岸見一郎さんの本を読んだことがキッカケだったのです

 

もっとも、このような意味において願い年月がかかっているという一方で、書籍を実際に制作する段階でも一般的な書籍よりも長い期間を費やしているようです。

その期間については、『嫌われる勇気』の担当編集者である柿内芳文さんがとあるニコ生の番組において、その制作期間として丸3年を費やしたと述べられていまいました。

ちなみに、柿内さんは『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?(山田真哉 著)』や『ゼロ(堀江貴文 著)』や『インベスターZ(三田紀房 著)』などの編集もされている方ですね。

柿内さんは、古賀さんと岸見さんと本書を出すための議論を何度も重ねられ、ずっとそのアイディアを暖め続けていらっしゃったそうなんです。

 

『嫌われる勇気』を読まれた人は数知れど、その誕生までに3年間もの年月が費やされたことを知っている人は意外と少ないと思います。

もちろん、長い準備をすればヒットするというワケでもなければ、サクサクッと比較的短い期間でつくられた本がヒットしないということでもないと思いますが、『嫌われる勇気』という書籍には、長きにわたるこの御三方の並々ならぬ思いがギュッと閉じ込められていると考えると、その感慨はひとしおではないでしょうか。

 

そして、次にお伝えさせていただく『嫌われる勇気』の七つ目のヒットの理由は、この御三方の関係性に関するものです。

 

7.三人のチームワーク

嫌われる勇気

 

先ほどの内容とも関連する『嫌われる勇気』のヒット七つ目の理由が、岸見さん、古賀さん、柿内さんの御三方のチームワークにあります。

なお、このことは岸見さんが述べられていたことで、この本を発売した2013年時点では、岸見さんが50代、古賀さんが40代、柿内さんが30代だったのですが、若くて才能がある二人に当時の岸見さんはワクワクしたと語っていらっしゃいます。

それと同時に、古賀さんと柿谷さんがもし岸見さんの言うことを「はいはい」と聞くイエスマンだったら、つまらなかったとも述べられているんですよね。

このような意見の背景には、チームを組んでやる以上は自分が考え付かないようなこと率直に言ってくれたり、自分にはないアイディアを臆せず出してくれるような人と仕事をするのがその醍醐味であるとの岸見さんの考えがあり、実際に二人と仕事をするのはとても楽しかったそうです。

 

そして事実として、ことアイディアに関しては、一番目のヒット理由として挙げた「対話形式」というアイディアは三人で議論する中で柿内さんが提案されたものだったようですね。

どんな内容にすればアドラー思想が効果的に読者に伝わるのかを三人で議論していた時に、柿内さんが「自分たちの今しているこの議論をそのまま本にしたら、読者により面白く伝わるのではないか」と言い出したことが対話スタイルのキッカケになったそうです。

 

ちなみに、『嫌われる勇気』を作るために、古賀さんと柿内さんは数か月に一回のペースで京都にいる岸見さんの元を訪れ、毎回6時間から7時間ほど議論していたそうで、その議論の内容も固有名詞をバンバンで出した個人的な人生相談のようになっていたとのことです(笑)

もっとも、岸見さんは当時のその様子を振り返り、三人がそのような形で自分の問題として話をしていたことで、『嫌われる勇気』が読者が読んだときに共感しやすい内容になることができたのだと思うと述べられています。

 

また、それらも踏まえて、『嫌われる勇気』の出来栄えには自信があり、長く支持される本になるだろうと思っていたとも岸見さんは語っておられ、古賀さんと柿内さんも同じ思いだったのではなないかともおっしゃられていました。

 

つまるところ、この御三方のチームワークとそれぞれの熱意が『嫌われる勇気』のヒットには隠れているのだと思います。

少なくとも、この三名が揃わなければ、この書籍がこれ程までに大ヒットする素晴らし作品になることはなかったのでしょう。

 

しかも、このことは、続いて掘り下げていく『嫌われる勇気』が日本を飛び出し世界中で異例の大ヒットをしている理由とも繋がっていることなんです。

 

8.世界進出を最初から想定していた

嫌われる勇気

 

このコラムの冒頭でも触れたように、『嫌われる勇気』は日本国内のみならず、アジアを中心に世界中でも大ヒットを記録しています。

そして、岸見さんいわく、世界進出することは初めから狙っていたことだそうなんです。

 

なおかつ、世界進出を見据えた工夫も実際にされていました。

世界中の人々に読まれる作品になるために行った工夫のひとつ目が、書籍の中では固有名詞を使わないということです。

たしかに、哲人の紹介は「古都の外れに住んでいる一風変わった哲学者」ですし、青年にも特定の名前はつけられていません。

また、場所に関しても、先程のようにあくまで「古都」としていて、たとえば「京都」といったような地名は一切登場しないのです。

 

また、これ以外の工夫として挙げられることに、書籍内の挿絵にも工夫が施してあると岸見さんは語られています。

実際に見ていただくとわかるのですが、挿絵で描かれている哲人の書斎にはパソコンがありません。

このような描写にした背景には、10年後にも現在と同じような形でパソコンが存在しているのかは分からないという考えがあります。

それと同時に、時代とともに古びるようなものは文章にも挿絵にも一切入れてないそうで、したがって挿絵の机の上にあるものは、原稿用紙と万年筆だけです。

岸見さんいわく、この二つは今後も恐らく消えないと考えられるために、描くことができたとのことでした。

 

こういった工夫は、普通に読んでいてもなかなか気付かない細かい気配りですよね(笑)

しかし、このような工夫があるからこそ、日本のみならず国外でも受け入れられやすく、また時代を超えて読み継がれることも意識された本であることが再度伺えますね。

 

では一体、実際のところ、これらの工夫が施されて書かれた『嫌われる勇気』に対する世界各国それぞれの反応はどうだったのでしょうか?

ここでは、まずお隣の韓国での反応から簡単に見ていきましょう。

 

韓国で『嫌われる勇気』が発売されたのは2014年11月だったのですが、発売から1年経過した時点で発行部数はすでに日本と並ぶ86万部に到達し、2020年の段階での部数は140万部にまでのぼり、韓国の書店最大手「教保(キョボ)文庫」では51週連続1位という歴史的な大記録を打ち立て、これは韓国建国以来初めての快挙だそうです。

韓国が建国されたのは1948年ですが、「建国以来」という表現が何ともキャッチーですよね(笑)

 

ではなぜ、韓国においても『嫌われる勇気』は大ヒットすることができたのでしょうか?

その理由は、ここまで見てきた様々な理由ももちろんありますが、岸見さんは韓国の文化と社会特有の要因が関係しているとの考えを持っていらっしゃいます。

 

いまの韓国の若者たちは、自国のことを「ヘルチョソン(地獄の朝鮮)」と呼ぶそうで、これには一生懸命が頑張っても報われない、挽回できない社会であるということが背景にあります。

韓国では日本と違い、どの家庭に生まれるかで自分の人生が決まってしまうような社会システムと文化的な背景があるのですね。

そんな、格差の激しい韓国で生きていくことのツラさや大変さを嘆いた言葉が「ヘルチョソン」なのです。

 

『嫌われる勇気』は、「ヘルチョソン」に生きる若者たちが抱えている「生きづらさ」に対する答えを示しているのではないかと岸見さんは語ります。

その上で岸見さんは、韓国特有の生きづらさの中で生活している彼らに対し、本書は今までにない新しい希望を見出しているのではないかとも述べられています。

また、もう一人の著者である古賀さんも、出版関連のイベントで韓国におもむいた際に「今回の取材やイベントに集まる読者はまるで『嫌われる勇気』に出てくる青年のようでした」とも語っていらっしゃいます。

 

このような意味でも、『嫌われる勇気』に秘められているメッセージがいかに普遍性のあるものかが伺い知ることができますし、少し前の「常識をひっくり返す」という話の際に触れた、アドラーの思想というものはそれぞれの国ごとで独自で発展をしていくという岸見さんのご意見を証明しているようにも思えますね。

 

そして実際、このことは韓国だけでなく日本とも親交が深い台湾においても、同様のことが言えます。

 

2017年のデータにはなるのですが、『嫌われる勇気』は台湾での大ヒットを記録し、発行部数は46.2万部にものぼります。

台湾の人口は約2400万人なので、その影響力の大きさは人口比で言うと日本の250万部に相当し、これほどのベストセラーは台湾では10年ぶりだそうです。

 

そして、そんな台湾と先ほどの韓国には実は一つの共通点があります。

それは、両国ともに、恩というものを非常に重んじ、特に親の言うことが絶対だという伝統的な倫理道徳観をもっているいうことです。

岸見さんはこの事を踏まえ、台湾人にとってのアドラー心理学はそういった既存の価値観とは真逆の考えを提供しているのではないかと述べられています。

特に、書籍に登場する「課題の分離」を実践することが伝統的に守られている倫理や道徳に反するのではないかという思いを抱いている人が大勢いるように現地に訪れた岸見さんには感じられたそうで、多くの若者たちが親の問題を気にしていることが特段印象的だったともおっしゃられています。

 

また、その一方で若い女性の読者についても岸見さんは印象深かったようですね。

台湾には、学歴が高く社会で活躍している女性が多いそうなのですが、実際岸見さんたちが現地で取材を受けたメディアの記者なども、ほとんどが女性だったそうです。

なおかつ、彼女たちは自分の両親との個人的な相談や「課題の分離」に関する質問が多かったそうで、『嫌われる勇気』に書かれていることを実践して本当に大丈夫なのだろうかということを特に訊いてきたそうなんです。

このことを振り返り岸見さんは、台湾では女性のほうが色々な立ち回りは上手であるものの、実はそれだけに職場等において多くの我慢を強いられていることの表れなのかもしれないと推測されています。

それゆえに台湾でも多くの人々に『嫌われる勇気』が求められ、そういった意味でも台湾の人々は最高の読者だと思うとも述べられていました。

 

つまり、このことからも、アドラーの哲学が普遍的であるがゆえに、どんなお国柄にもそれぞれの形で浸透していることが垣間見えますよね。

 

9.『嫌われる勇気』自体が嫌われる勇気によって生まれた?

嫌われる勇気

 

さてさて、これまで八つに分類する形で『嫌われる勇気』のヒットの理由を整理してきましたが、最後に挙げる理由が、『嫌われる勇気』という書籍自体が嫌われる勇気によって誕生したということです。

この言い方がなんだか哲学っぽく聞こえなくもないですが(笑)、言い換えれば、書籍関係者の方々の嫌われる勇気がなければこの本は生まれていなければヒットもしていなかったということですね。

 

『嫌われる勇気』の初版は実は8000部程度だったのですが、このことも踏まえ岸見さんは、現在の出版事情を考えたら8000部は決して少ない部数ではないとした上で、ベストセラーやヒット商品の背景には一様に「嫌われる勇気」があると思うと述べられていらっしゃいます。

このことをより具体的に、たとえば年長者が「そんな本は売れない!」と言ったとしても、若い人がそれにひるんだり恐れることなく、「これは絶対に売れます!」「大丈夫です!」といったようなやりとりがあってベストセラーが生まれているはずだと語られていらっしゃいました。

『嫌われる勇気』について言えば出版自体に反対する人はいなかったそうですが、いずれにしろ、かのスティーブ・ジョブズ然り世界を書き換えるような作品というのは、それまでの常識的なモノサシでは否定されがちな傾向があるというのは確かだと思います。

 

それこそ、『嫌われる勇気』に秘められたメッセージが現代社会では非常識とされる内容であることを考えれば、その内容が常識の範囲内を超えていたからこその大ヒットだとも言えますね。

 

つまるところ、『嫌われる勇気』という書籍の制作・出版・販売ということ自体が嫌われる勇気が伴って成されたことであり、関係者の方々の嫌われる勇気の実践によってこの本が世の人々に届くことができたと言えるのではないでしょうか。

言い換えれば、この本の存在自体が、嫌われる勇気の象徴なのですね

 

そういった意味でも、僕たちは『嫌われる勇気』という書籍に込められている数々の珠玉のメッセージを勇気をもって実践することで、この書籍と出会えたことへの恩返しができるのではないでしょうか。

 

岸見さん、古賀さん、柿内さんはじめ、この書籍に関わって下さった関係者の方々の思いを胸に、自分のなかの嫌わる勇気を育みそれを貫くことで、この大ヒットの輪っかをより大きく強いものにしていきたいものですね。

 

おわりに

さてさて、『嫌われる勇気』のヒットに隠された理由の整理はこれで一旦おしまいですが、この本がヒットした理由は、この他にも「タイトルのつけ方」や「表紙のデザイン」や「販促方法」など挙げればまだまだあると思います。

いずれにしろ、これらの要素が複合的に絡み合ったが故のヒットであり、そういった意味ではそもそも「これだ!」と言い切れるヒットの理由というものは実はないのかもしれません。

実際、結局のところ書籍に限らずあらゆるビジネスも含めた成功や優れた結果というのは、方法論ではなく結果論だとも言えますしね。

それが上手くいった理由を見つけてメソッド化したりノウハウ化して真似をしても同様の成功事例が生み出せないことは、それが結果論であるということの裏返しなのではないかとも個人的には思ったりします。

そういった意味では、『嫌われる勇気』という書籍のヒットは、ヒットすべくしてヒットしたある種の必然なのでしょう。

「それを言っちゃあオシマイよ」と言われてしまいそうですが(笑)、この事も踏まえた最後の締めくくりとして、マズロー研究家としての立場から一言だけ。

 

これは一般的にはほんとんど知られていないことですが、実はマズローも自身の心理学を打ち立てる際にアドラーの心理学を大いに参考にしていました。

なおかつ、表現方法や言葉遣いこそ違えど、実はマズローもアドラーと同じようなことを語っていて、たとえば「人生の悩みは全て対人関係である」ということをマズローは欲求階層を使って説明してくれていました

あるいは、「嫌われる勇気」に関しても、自己実現に至る8つの方法の一つとしてマズローは語ってくれていたりもします

また、岸見さんのおっしゃる「自分の人生を生きていなかった」ということも、マズローは「擬似自己」「高次病」というキーワードなどを使って説明してくれています。

それに、マズロー心理学も非常に哲学的な色合いが強いですし、アドラーに負けずとも劣らない劇薬っぷりがあります(笑)

 

しかし、多くの人はマズローが書いた著書を読んでもそれに気づきませんし、そもそもマズローという名前を知っていてもマズロー著作を実際に手にして自分の目で読む人はほとんどいません。

そういった意味でも、マズロー心理学の情報発信者は、やはり見せ方と伝え方を工夫しなければ世間一般の方々にマズロー心理学に眠る宝物に気づいてもらうことはできないのですね。

 

いずれにしろ、マズロー研究家としての情報発信をさせていただいている僕としては、「嫌われる勇気」のヒットは非常に興味深くも勝手ながらこれからの活動への勇気をもらえるものでもありました。

 

「働くって何なの?どうしたら楽しくもやりがいのある仕事ができるの?」

「幸せっていったい何?どうやったら幸せな人生を歩めるの?」

「そもそも生きるって何なの?私はどう生きたらいいの?」

 

マズローが欲求階層や自己実現を通して語ってくれている、こういった悩みへの解答になってくれる「仕事論」や「幸福論」や「人生論」などがいつか多くの人に届くことを願って、僕はこれからも「にっぽんマズロー探究部」の活動を粛々と続けていければと思います(笑)

 

ではでは、最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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【参考サイト】
幻冬舎ゴールデンオンライン
https://gentosha-go.com/articles/-/27966?per_page=1

ITメディアビジネスオンライン
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2002/07/news024.html

リクナビネクストジャーナル
https://next.rikunabi.com/journal/20161228_p1/

ダイアモンドオンライン
https://diamond.jp/articles/-/83855
https://diamond.jp/articles/-/131717

logimBiz
https://logmi.jp/business/articles/193481

music.jpニュース
https://music-book.jp/book/news/column/85261

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