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バクマンに学ぶライバル企業の大切さ/エイジ達とのシナジー状態が成功のカギ?

バクマンライバル

 

言わずと知れた人気漫画「バクマン。」。

主人公の亜城木夢叶のふたりと新妻エイジをはじめとしたライバル漫画家たちとのアツイ戦いがこの漫画の面白さの一つですよね。

今回は、そんな「バクマン。」という漫画を参考に、ライバル企業がいてくれることの大切さと、僕たちが漫画の登場人物たちのように活躍するにはどうしたらいいのかについてアレコレ紐解いてみたいと思います。

そこには、「欲求階層」や「自己実現」という言葉でも有名な心理学者アブラハム・マズローが語る「シナジー」の概念と、会社で働く従業員の心の健康と企業の末長い発展の秘密が垣間見え、社会人として自分の仕事とどう向き合ったらいいのかのヒントも見えてきます。

 

「バクマン。」とは

 

最初に、簡単に「バクマン。」という漫画について、さらッとだけおさらいしましょう。

「バクマン。」は、2008年から週刊少年ジャンプで連載がスタートした漫画で、アニメ化・実写映画化までされ、2020年6月時点で累計発行部数は1500万部にもなっている大人気作品です。

ストーリーはシンプルで、中学3年生の真城最高(サイコー)と高木秋人(シュージン)が、それぞれ作画と原作を担当し二人一組で漫画家として夢を追いかけるというもの。

そして、この漫画になくてはならない人物が、彼らにとって最大のライバルである新妻エイジ。

エイジは天才的な漫画家としての才能をもっていて、サイコーとシュージンは彼をライバル視しており、エイジも同様に二人を永遠のライバルと捉え、お互い刺激を与え合いそれぞれの漫画を面白いものにしていきます

 

ライバルがいることの意義

 

作中では、お互いが相手の漫画のストーリーづくりや描写の仕方に影響を受け合いどんどん変化していきますが、その姿がとてもカッコいいんですよね。

「もっと面白い漫画を書きたい」「ジャンプで一番人気のある漫画になりたい」という想いがぶつかり合い、実際にどんどん互いの作品は向上していきます

 

そこには、足の引っ張り合いなどはありません。

相手の失敗を願うような陰湿な気持ちもなければ、遠慮し合って手を抜くような生ぬるい依存ももちろん皆無。

 

むしろ、相手に追い抜かれることがカンフル剤となり、自分自身の情熱がさらに勢いよく燃えるという相乗効果が起こっています。

平たく言えば、互いが互いを高め合っているんですね。

あるいは、相手がいることで自分がさらに磨かれるという意味では、より良い漫画を書くためにはお互いになくてはならない存在です。

 

そしてもちろん、そのようにして切磋琢磨しあって面白くなった漫画は、漫画の読者を喜ばせます

それと同時に、漫画を連載する出版社にも利益をもたらしているのも、大きなポイントですね。

 

マズローの語るシナジーと「バクマン。」との関連性

 

心理学者マズローは、理想的な企業経営においては、その企業が「シナジー」で満ちていることが大切であると述べていました。

シナジーは、一般的には「相乗効果」と訳されるものです。

 

もっとも、マズローの考えていたシナジーはもっと奥深く多面的な意味合いを含んでいるものなのですが、その側面の一つが、企業というのは組織がシナジーによって構成されていることで従業員は自己実現に向かうことができ、それにより会社として健全に発展し利益を上げ続けられるというものです。

なぜなら、シナジー的でない企業は従業員同士がいがみ合うか依存し合うことにより、長期的な成長が見込めないからです。

 

逆に、シナジー的な優良企業は、従業員同士がお互いに高め合い、それが企業の成長に繋がり、その企業としての成長がさらなる従業員の成長に還元されるというスパイラルが起こるので、長期的で健全な成長をし続けることができます。

 

そして、このシナジーの効果は、自社の組織内だけではなく、いわゆる競合他社やライバル企業との関係性にも同じことが言えます

つまり、自社の成長が他社の成長に繋がり、他社の成長が自社の更なる成長に結びつくという連鎖が起こるのが、企業間におけるシナジーです。

 

分かりやすく言えば、まず、自社の製品を全力でつくり利益を上げる。

次に、ライバル企業がそれに刺激され、さらに優れた製品をつくり利益を上げる。

そして、ライバル企業の生み出した製品に感化された企業が、また新しい製品をつくる。

このらせんが続き、双方に良い製品を生み出し続け、互いに利益を上げ合う。

そうして、それら製品がつくりだす社会全体もより良い場所になる。

このような形でお互いの利益を上げ合うことは、シナジー的な関係性の一側面と言えるでしょう。

 

ここまでの流れの全体像のイメージとしては、「自分の成長」→「他の社員の成長」→「自分のさらなる成長」』⇒『自社の成長』であり、『自社の成長』→『他社の成長』→『他社の更なる成長』⇒【社会の成長】といった感じでしょうか。

 

「バクマン。」におけるシナジーの本当の価値とは?

 

「バクマン。」の作中において、少年ジャンプに連載する漫画家同士がお互いの全力をぶつけ合うことでそれぞれの漫画がどんどん面白くなっていく様子は、まさにシナジーの良い事例と言えます。

 

そして、前述した通り、それが結果的に「サイコーたちの作る漫画を読む読者の満足度の向上」と「サイコーたちの漫画を連載している集英社という出版社の発展」にも繋がっていることも、見過ごせないポイントですね。

 

ここでの「漫画家」を「企業」に、「読者」を「顧客」に、「集英社」を「社会全体」に置き換えると、シナジーの意味がより深く感じられると思います。

企業同士(漫画家同士)がしのぎを削り合うことは、顧客(読者)のより高い満足を提供する事になり、それが社会全体(集英社)をより理想的な世界にすることに結びついている。

これこそが、自社の発展と顧客満足と健全な社会の成熟におけるあるべき繋がり方の一例だと思います。

 

心理学者であるマズローが、人間ひとりひとりの心の健康を会社という組織を通して実現しようとし、また、会社を内包しているさらに大きな社会というスケールにおいても人々を心理的に健康にすることをずっと模索していたことは、意外と知られていない事実です。

つまり、人々が本当の意味で健康な心を手に入れるためには、彼らを包み込んでいる会社と社会を健康にする必要があるんですね

そして、そのヒントが「バクマン。」に登場するライバル同士の関係性に描かれている、というのが今回のお話でした。

 

ちなみに、「バクマン。」の20巻に収録されている名ゼリフ『普通とか常識とかそんなのは今世界を動かしている人の押し付け』というセリフは、社会から本質的な意味で自由になり自己実現のシナジーを生み出す生き方への理解を深めてくれる、とても素敵なセリフですね。

 

なお、マズローの語るシナジーへの理解を深められる仕事論や経営論の詳細は、下記電子書籍をご一読いただければと思います。

自分の仕事との向き合い方を新しくより望ましいものにしてくれるヒントを一冊にギュッと凝縮した内容になっています。

 

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