マズロー心理学のすべての土台であり、「基本のキ」とも言える必ず押さえておくべき話が「欲求階層」にまつわる内容なのですが、実は多くの方がその内容を正確に把握できていないというのはご存知でしょうか?
実際にネット等で欲求階層についての情報を調べてみると、「あれ?こんなことマズロー言ってないけどな…」という説明であったり、「これはどう考えてもマズローの主張から逸脱しているよね」という解説が、残念ながらかなり多いんですよね。
なかには、マズローの意見とは正反対のことを言っている内容もあったりします。
言い換えれば、多くの方が見聞きする巷の欲求階層の話は、書き手自身がマズローの語る欲求階層をちゃんと理解できていないので、当人の勝手解釈や誤解した内容がたくさん含まれているものなんですよね。
それにより、ほとんどの人がマズロー心理学に眠る宝物に気づけていないことはとても勿体ないと思います。
ということで、今回はマズローの著書を全て読んだ僕が辿り着いた「マズローの主張に忠実に寄り添った五つの基本的欲求の説明」と「それに基づいて作った欲求階層イメージ図」をご紹介したいと思います。
この記事を読むことで、これまで自分が持っていた欲求階層への印象がガラッと変わってしまうかも!?
もくじ
1.そもそも「欲求」ってなに?
さて、メインの欲求階層の話に入る前に、その大前提となる「欲求とは何ぞや?」ということをサクッと抑えておきましょう。
そうしないと、五つの基本的欲求はおろか、欲求階層論すらちゃんと理解できませんからね。
その上で、まずは心理学において欲求というものはどのように捉えられていたのかという話から入っていきましょう。
マズローが活躍していた当時の心理学の世界では、「欲求は押さえつけるべき悪者」という考えが主流でした。
しかし、マズローは「欲求」というものは悪いものどころか、むしろ人々のモチベーションになる大切なものであり、しっかりと向き合うことで僕たちの人生を豊かにしてくれるものであるという見解をもっていたのです。
それと同時に、欲求を研究することは人間の本質そのものを理解することに繋がるともマズローは考えていたようです。
そのため、マズローは欲求というものをとても肯定的に捉えており、当時の人々が欲求に対して抱いていた「野性的な荒々しい本能」「自分の心を乱して暴走する衝動」「理性で抑制するべき厄介者」というイメージを、様々な研究を通して払拭してくれました。
ちなみに、そのようなスタンスで人のもつ欲求を捉えていたからこそ辿り着いた概念が、かの有名な「自己実現」だったりもします。
言い換えれば、この記事の最後で詳しく紐解いてもいく「自己実現の欲求」というものは、マズローが欲求というものを前向きな存在として捉えたからこそ見出すことができた欲求だったのですね。
そんなマズローは、心理学者として35歳から本格的に活動を始めてから、アメリカ心理学会の会長を務める程の実績を確立し1970年に62歳でこの世を去るまでの間、ずっとこの「欲求」というものを研究の中心にすえ、人の心と向き合っていました。
そして、実際にマズローが欲求についてどのような意見を持っていたのかということを簡単にまとめると、次のように整理できるでしょう。
・欲求は「満足」と「不満」を繰り返すもので、人はある欲求を満たすと次の高次の欲求を満たそうとする
・欲求を扱うには様々な注意点があり、正しく付き合わないと心を病気にする可能性すらある
・欲求を満足させるためには、そのための前提条件が存在する
・人間に共通する基本的欲求を五つに分類すると、「生理的欲求」「安全の欲求」「所属と愛の欲求」「尊重の欲求」「自己実現の欲求」である
・この五つの欲求の分類方法は絶対的なものではないが、人間の心を理解する上では研究する意義と価値が非常に高いものである
文章量の関係でそれぞれの詳しい内容を掘り下げることはここでは割愛させていただきますが、このような前提のもとマズローは五つの基本的欲求について研究していました。
ということで、大まかな欲求の概要を把握できたところで、ここからいよいよ本題の内容に入っていきましょう。
2.「生理的欲求」の意外な事実
欲求に対して先程のような見解をもっていたマズローですが、人に備わっている基本的欲求の一番目として「生理的欲求」を最初に挙げていました。
言い換えれば、この「生理的欲求」というものは、他の四つの基本的欲求のベースに据えられている基礎の部分という事ですね。
なお、この「生理的欲求」に関しては、一般的には「食欲」「睡眠欲」「性欲」をはじめ、「排泄」「のどの渇き」「呼吸」などの、いわゆる「生命維持」のために必要なものを求める欲求であるという説明が多いようです。
しかし、実はマズロー自身はこのような具体例は挙げていません。
もちろん、「生理的欲求」の説明の際に例え話として「食欲」などに触れることはあるのですが、マズローは彼の持ち味の一つであるその鋭い視点とストイックなスタンスから、あえて「生理的欲求」の一覧をリスト化することはしませんでした。
これは、巷ではほとんど知られていない事実でしょう。
むろん、マズロー自身が具体例を明記していなかったがゆえに誤解が広まったということも言えるでしょうし、あるいは後続の人々が具体例がないという点を補足してくれたという捉え方もできると思います。
しかし、マズロー自身はあえて生理的欲求の具体例を作らなかったということや、その理由を知らずに自分勝手に生理的欲求に肉付けしたり、なおかつそれをさもマズローの欲求論の正しい解説として説明するのはいかがなものかなと個人的には思ってしまいます。
いずれにしろ、この「あえて一覧を作らなかった」という部分にこそ、マズロー心理的特有の奥深くも理論的な考察があるのですが、その詳細は生理的欲求について深く掘り下げた下記のコラムで解説しているので、ご興味のある方は後ほどお読みいただければと思います。
ここでは、実際にマズローが生理的欲求をどのように捉えていたのかについて必要最低限にまとめると、次のように整理できます。
・生理的欲求とは、欲求が満たされていない場合においてのみ、あらゆる欲求の中でも最も優先度の高い欲求である
・マズローはあえて生理的欲求の具体例の一覧は作らなかったが、少なくとも食欲・性欲・睡眠欲は生理的欲求の代表例と捉えて問題ないと考えていた
・生理的欲求は、他の欲求と密接に結びついている非常に複雑な欲求である
・現代人の生理的欲求の満足度は85%程度が一般的である
生理的欲求の大まかな輪郭はこのようなものになりますね。
そして、この生理的欲求をしっかりと満たした先にあるのが、二つ目の基本的欲求である「安全の欲求」になります。
3.「安全の欲求」を満たす大変さ
先ほどの生理的欲求に次いで、人間の基本的欲求の二番目としてマズローが説明していたものが「安全の欲求」でした。
この「安全の欲求」に関しては、マズローも分かりやすい事例を使いながら述べてくれているのでトンチンカンな誤解は少ない欲求と言えるのですが、それでも、この欲求も一筋縄ではいきません。
というのも、「安全の欲求」は生理的欲求に比べると、本当の意味で満足することがかなり難しい欲求だからです。
実際、僕たちは、自分の身体を守ってくれる頑丈な家があるだけでは、自分の安全が完璧に保障されたとは思えませんよね?
なぜなら、仮に強固な家があったとしても、それも結局は「心理的な安全」を手に入れるための手段でしかないからです。
つまり、自分が住む家が身の安全を確実に守ってくれる「レンガの家」だったとしても、おおもとの自分の「心の安全」が「ワラの家」程度の強度だと、不安や恐怖を感じてしまい「安全の欲求」は満たされないということですね。
むしろ、文明の技術的にはある程度発展していると言える現代の日本に生きる僕たちは、物理的で身体的な安全を心配するよりも、精神的な安全をしっかりと確保することに重きを置ける環境で生活できているとも言えるでしょう。
このような前提の上で更に言えることは、僕たちは自分のなかに潜む不安や恐れによって、自分でも知らないうちに「安全の欲求」に主導権をもっていかれていることが非常に多いということです。
したがって、意外と多くの人々が、日々の生活のなかで自分でも気づかない無意識下において、「安全の欲求」の力によって消極的で後ろ向きな選択をしていたりもします。
また僕たちは、過度なストレスを抱えやすい環境に身を置いていたり、普段の日常が脅かされるような災害や事件が起こると、「安全の欲求」によって通常では考えられないようなビックリ仰天な行動をしてしまうという特徴もありますね。
そんな、特有の手ごわさをもつ「安全の欲求」についてのマズローの意見を簡単にまとめると、次のように整理できるかと思います。
・「安全の欲求」とは、安全、安定、依存、保護、恐怖・不安からの自由、構造・秩序・法・制限を求める欲求である
・「安全の欲求」は、生理的欲求に次いで強力な欲求であり、場合によっては生理的欲求すらも上回る影響力をもつ
・特に、精神的疾患、経済的困窮、社会からの離脱、戦争・秩序の崩壊などに該当する場合は、「安全の欲求」はとても顕著にあらわれる
・人間は「安全の欲求」をもっているので、自分の慣れ親しんだものを好む
・危機的な状況では、「安全の欲求」を満たしたいがゆえに極端な自己防衛にはしったり、権威や権力にすがるなどの傾向がある
このような内容は、自分自身の普段の行動を振り返ると思い当たることも多いのではないでしょうか。
いずれにしろ、僕たちは自分の想像以上に自分のなかにある「安全の欲求」の姿かたちをしっかりと把握できておらず、また正しい満たし方も理解できていません。
逆に言えば、心理的な安全をしっかりと整えられている人というのは、自分のなかの「安全の欲求」をちゃんと把握しているがゆえに、健全なかたちで満たすことができているということですね。
ちなみに、このことが実は僕たちの自己実現を可能にするか否かの大きな要因の一つでもあるのですが、このことに関してはまた別の機会に深く掘り下げさせていただければと思います。
4.「所属と愛の欲求」との付き合い方
基本欲求の二番目であった「安全の欲求」に続く三番目の欲求として、マズローは「所属と愛の欲求」というものを挙げていました。
なお、この三番目の欲求を「社会的欲求」という名称で説明することがあるようですが、実はマズロー自身はそのような名前でこの欲求を呼ぶことは一切していないんですよね。
たしかにこの欲求は、他者とのコミュニケーションを大切にする「社会性」をもつ人間らしい欲求という側面をもっているのですが、マズローの書いた書籍の原文では「the belongingness and love needs」というかたちで、明確に「所属と愛の欲求」と表現しています。
もしかしたら、「別にそんな細かい事どうでもよくね?」と思われたかもしれませんが(笑)、ここがズレてしまうと先ほどの「安全の欲求」と同様に僕たちは自分の「所属と愛の欲求」を健全に満たすことができなくなってしまうのです。
なお、念のための確認ですが、「所属」とは「集団や組織に属すること」であり、「愛」とは「愛し愛されること」のことですね。
これも踏まえてここではこの欲求に関しての結論だけ言うと、マズローいわく、現在社会に生きる私たちの「所属と愛の欲求」は残念ながらほとんど満たされていない上に、その原因には非常に根深い社会的な問題が関わっていると指摘しています。
また、マズローは基本的欲求としてのこの欲求の説明では「所属」と「愛」の両者を一括りでまとめていますが、こと「愛の欲求」に関しては、マズローは自身の著作の中でかなりの文面を割いて色々な考察をしていました。
その内容は、とても深遠で温かみのある内容である一方で、僕たちの価値観を根底から変えてくれるような目からウロコがぼろぼろ落としてくれる考え方がたくさん含まれています。
特に、マズローが伝えてくれる「与えられる愛」と「与える愛」の違いや、「性欲」と「愛の欲求」との違いなどについての説明は、今の時代でも決して色あせることのない普遍的なメッセージ性が隠れているんですよね。
そんな「愛の欲求」も含めた「所属と愛の欲求」について、マズローは下記のような考えをもっていました。
・生理的欲求と安全欲求の両方が十分に満たされると、「所属と愛の欲求」が現れてくる
・これら三つの欲求の優先順位は、時と場合によっては逆になることがある
・「所属と愛の欲求」は、より良い社会や個々人の健康にとって必要であるが、現代社会においては不満傾向が強く見られる
・この欲求の満足は、その人の人生の初期における経験との関係が深い
・精神的に健康で自律的な人間は、この欲求の欠乏に最も耐えられる
ざっくりとした概要をまとめると「所属と愛の欲求」はこのように整理できるのですが、この欲求は次に触れていく「尊重の欲求」の内容と紐づけることで、その内容が更に深く理解できると思います。
5.「承認欲求」か「尊重の欲求」か
先ほどの「所属と愛の欲求」に続き、その次に基本的欲求の説明の際にマズローが触れていたのが「尊重の欲求」と呼ばれるものです。
なお、この「尊重の欲求」は多くの場合、「承認欲求」という呼び名で広まっていますが、厳密にはこのネーミングはマズローの意図を正しく反映しているとは言い難い名称です。
というのも、マズロー自身はこの四番目の欲求に「the esteem needs」という名前をつけているのですが、この「esteem」とは主に「尊重・尊敬」という意味であり、「承認」という意味ではないからですね。
ここでも簡易的な結論だけ言うと、一般的には「他者から認められたい!」という承認欲求が基本的欲求の四番目に据えられていますが、マズローは承認欲求というのは「尊重の欲求」の一部でしかないと考えていました。
ちなみに、これは自己承認についても同様です。
つまり、他者承認であろうと自己承認であろうと、そういった承認欲求を満たしたとしても、それは「尊重の欲求」の真の満足ではないということですね。
このような意味でもとても誤解されることが多く、正しく把握するのに少し骨の折れるのが「尊重の欲求」なのですが、この欲求についてのマズロー意見を簡単に整理すると次のようになるかと思います。
・承認欲求というのは「尊重の欲求」の一部である
・「尊重の欲求」の基盤には「自己肯定感」がある
・「自己肯定感」が健全に育まれないと、精神面に多くのネガティブな影響を与える
・そのため、「自己肯定感」の土台に名声、権力、地位など自分の外側にあるものを据えるのではなく、内面的な豊かさを据えたほうがよい
・「所属と愛の欲求」を満たすよりも「尊重の欲求」を満たす方が、多くの点で大変である
なお、「所属と愛の欲求」も含め、「尊重の欲求」を正しく満たす方法やそこに潜む落とし穴について掘り下げるのはこの記事の本題とは逸れてしまうので、別の機会に紹介させていただきますね。
そして、この「尊重の欲求」が真に満足することで僕たちに現れるのが、基本的欲求の最後の欲求である「自己実現の欲求」になります。
6.「自己実現の欲求」の果てしない奥深さ
先ほどの「尊重の欲求」に続いて、マズローは基本的欲求の五番目として「自己実現の欲求」というものについて語っています。
この記事の冒頭でも触れたように、この「自己実現」という名前を見聞きたたことがある人は多いものの、この言葉が指し示す本当の奥深さまで足を踏み入れてられている人は意外と少ないのかもしれません。
ちなみに、ここで少し余談になりますが、「自己実現」という言葉はもともとはマズローではない人物が生み出した造語だといういう事はご存じでしょうか?
マズローは、その最初の発案者の意味を更に自分なりに昇華させた意味合いで「自己実現」という言葉を使っているんですよね。
そして、この「自己実現」という言葉は、一般的には「社会的な成功をおさめること」や「高い目標を達成すること」といった説明がされることも多いのですが、マズローが書いた原文を正確に読み解いていけば、それはとても表面的な理解だと言わざるを得えません。
むしろ、「社会的に成功すること」も「目標達成すること」も、「自己実現の欲求」とは正反対の側面とすら言えるのです。
もっと言えば、「社会的な成功をおさめることで価値ある人間になること」や「高みを目指して歯を食いしばるような努力を怠らず結果を出すこと」といったようなスタンスは、本当の意味での「自己実現」とは真逆の在り方と言っても過言ではありません。
そのような、奥深いがゆえに誤解しやすい「自己実現の欲求」についてのポイントを整理すると、次のようにまとめられるかと思います。
・「自己実現の欲求」は、他の四つの基本的欲求が満たされると現れるものであり、人間特有の欲求と言える
・自己実現の姿かたちは十人十色であり、必ずしも仕事や職業に限定されたものではない
・自己実現の欲求で生きる人は、感謝に基づいており、周りの人に対しても愛情深い気持ちで接することができる
・自己実現とは、一つの到達点という意味よりも、むしろゴールまでの過程自体のことである
・自己実現とは、自分の内側にある個性を創出するという、自然界や子どもにみられるようなとてもナチュラルな状態のことである
・つまり、自己実現とは、自分の内側に秘められた可能性を思う存分発揮し、自分らしさを徹底的に追及し続けることであると言える
なお、ここでまとめた「自己実現の欲求」と自己実現に関するポイントは、マズローが述べる自己実現の説明の1/1000以下であるということも、覚えておいていただければと思います(笑)
7.正しい欲求階層イメージ図とは?
さてさて、ここまでご覧いただいた五つの欲求に関する説明ですが、これらの欲求はそれぞれをより深掘れば深掘るほど、もっともっと大切なエッセンスが眠っているものです。
それだけに、マズローの主張を忠実に再現した階層イメージ図というのは、とても情報量が多くなってしまい密度も高いものになるので、整理すること自体が難しく、それゆえにしっかりと理解するのがなかなか大変な内容になっています。
実際にマズロー自身も、「欲求階層」を含めた自身が提唱する心理学はその内容が膨大過ぎるため専門の研究者以外には読みにくく、それと同時に整理して構造化しにくいとも述べているんですよね(笑)
なおかつ、これは意外と知られていない事実なのですが、実はマズロー自身は自分で「欲求階層のイメージ図」というものは作っていません。
つまり、世の中に数多く存在するイメージ図は、本家大本のイメージ図ではないということですね。
むしろそのことが、世間一般に多種多様で玉石混交なイメージ図が溢れている一つの原因でもあるとも言えそうなのですが、いずれにしろ、一番最初に「欲求階層のイメージ図」を作成したのはマズローではない、とある別の人物です。
そしてそのような背景もあり、僕は「実際にマズローが書いた著書を全て読んだ上でマズローの意見に最も寄り添った欲求階層イメージ図を作ってみたいな~」と思ったのでした(笑)
そして、この記事では完成までの過程である作業工程を全とびして、結論として辿り着いた完成形のイメージ図の簡易バージョンを紹介させていただきたいと思います。
そのイメージ図が、こちらです。
正直、パッと見は他のイメージ図とそんなに変わらなく見えますよね(笑)
しかし、この形に辿り着くまでには、「そもそも三角形のピラミッド型で本当のいいのか?」や「それぞれの基本的欲求のアイコンはどんなものが正しいのか?」であったり、「各欲求を一言でいうならどんな表現がベストだろう?」などなど、挙げればキリがないくらいに色々な事に気をつけながら作りました。
また、マズローが語っていた「欲求満足のイレギュラーパターン」や五つの基本的欲求を別の角度から分類した「基本的欲求のグルーピング」などをイメージ図に入れるか否かなども考慮しています。
更言えば、マズローの語る「欲求と動機の違い」も欲求階層においては大切な要素なので、そのことも配慮する必要もあります。
なおかつ、「欲求満足時の各欲求同士の力関係」や「不満時の優先順位の変更」といった内容も網羅しなければ、本当の欲求階層イメージ図とは言えません。
つまるところ、先ほども述べたように、マズローの語る欲求階層論は、その内容が膨大過ぎるため一つのイメージ図にはとてもじゃありませんがその情報の全てを落とし込むことはできません(笑)
そのため、最も情報量をそぎ落とした使いやすい簡易版のイメージ図が上記になるということです。
なお、よりたくさんの要素を詰め込み、最大限にマズローの主張を盛り込んだ完成形のイメージ図は下記になります。
「いやいや、モザイク入れるなや!」って感じですよね(笑)
しかし、この場ではその詳細をお伝え出来ない理由というのがあります。
それは何かと言うと、まず一つ目に、完成形のイメージ図だけを見てもこのイメージ図に至ったまでの過程を知らないと、このイメージ図が何を意味しているのかが全く分からないからです。
むしろ、なぜこのようなイメージ図になったのかを知らずにイメージ図だけ目にしても、受け手の方に誤解を与えてしまうだけであり、それはマズローの欲求階層論に関する誤情報を広めることになってしまいます。
なおかつ、二つ目の理由は、その内容を説明するにはコラムという形ではまとめきれない膨大な量の解説が必要になってしまうからです。
つまるところ、このような理由もあり、完成形のイメージ図の詳細は、ここまでの内容に触れた上で「もっと深くマズローの欲求階層について知りたい!」「自分の基本的欲求をちゃんと満たして健康な心で生きたい!」という、強い好奇心や探究心をお持ちの方にだけお伝えしたほうがいい内容であるということですね。
何でもかんでも無作為に情報を手に入れると逆に不自由になるということもありますし。
ということで、そんな親切なんだか不親切なんだか、はたまたケチなだけなんだか分からないような理由で(笑)、完成形のイメージ図の詳細は、実際のマズロー著作の文章もふんだんに引用しながら下記書籍で詳しく紐解いているので、ご興味ある方はぜひ一度お手に取ってみて下さいね。
ちなみに、この書籍の巻末特典では、とある特殊な個人的な情報源から作った下記のような「裏バージョン」の欲求階層イメージ図も公開しているので、人によってはコチラの方がご自身の感覚にピッタリくるかもしれません。
また、モザイクかい(笑)
ではでは、最後までお読みいただきありがとうございました。