欲求階層

精神的欲求と身体的欲求の意味とは?物質的欲求との違い・具体例なども解説

精神的欲求と身体的欲求
自己紹介

 

ときたま見聞きすることがある「精神的欲求」と「身体的欲求」という言葉ですが、それぞれの正しい意味とその違いとはどのようなものなのでしょうか?

今回は、具体的な事例も踏まえながら、両者の特徴を分かりやすくサクッとまとめてみました。

また、物理的欲求とは何かも併せて知っておくことで、僕たちの欲求のより正確なすがたが見えてくると思います

 

1.精神的欲求と身体的欲求の定義

精神的欲求と身体的欲求

 

さて、それでは早速、精神的欲求と身体的欲求のそれぞれの言葉の意味から入っていきましょう。

 

精神的欲求とは、文字通り僕たち人間の精神に関わる欲求のことで、平たく言えば心の欠乏を満たしたいという欲求のことです。

これは、何かしら心理的に不満を感じていることや、心が満たされていない感覚を満たそうとする欲求とも言えますね。

あるいは、心のモヤモヤ・空白感・欠損感などもこれに当てはまります。

もしくは、よく見聞きするフレーズに「心にポッカリ穴が空いてしまったような」といった表現がありますが、あれも広い意味では精神的欲求の不満に含まれるものと言えるでしょう。

もっと言えば、「心が曇っている」というような感覚も精神的に満たされていないことの象徴とも言えると思います。

 

つまり、「心が満たされていない!この満たされなさを何とかしたい!」という欲求が、精神的欲求と言えるんですね。

 

ちなみに、「精神的」という言葉を英語にすると「Mental(メンタル)」が一般的な訳ですが、このように英単語と比べることでそのニュアンスが更に掴みやすくなるのではないでしょうか。

 

一方で、身体的欲求とはこちらも文字通り僕たち人間の体における欲求のことで、平たく言えば肉体的な不満に関する欲求のことです。

マズローの欲求階層においても、この身体的欲求と似たような表現である生理的欲求が人間に備わる全ての欲求のベースになっていますね。

生理的欲求の具体例には、食欲・睡眠欲・性欲などがあるのですが、これらは身体的欲求の代表例とも言えるでしょう。

 

なお、ちなみに、「身体的」という言葉の英訳では主に「Physical(フィジカル)」という単語が当てはまりますが、フィジカルという響きの方がしっくりくる方もいるかもしれませんね。

 

もっとも、ここで注意しなければいけないのは、食欲・睡眠欲・性欲などは身体的欲求であり心理的欲求ではないと安易に捉えてはいけないということです。

このことを理解するために、精神的欲求と身体的欲求の具体例を見てみましょう。

 

2.精神的欲求と身体的欲求の具体例

精神的欲求と身体的欲求

 

精神的欲求と身体的欲求との違いをより明確にするために、まずは先ほど出てきた「食欲」における具体的な話から入っていきたいと思います。

 

言うまでもないことですが、「食欲」とは「食べたい!」という欲求ですよね。

そこには「空腹」という不満足があります。

したがって、何か食べ物(あるいは飲み物)を摂取することで、その不満を満たそうとします。

 

しかし、ここ一つ注意があります。

それは、ご飯を食べることは、必ずしもお腹を満たすという目的だけではないということです。

 

実際、人によっては、ご飯を食べることが「健康でいたい!」という欲求に紐づいてることもあれば、「美しくなりたい!」という欲求に結びついていることもありますよね。

あるいは、僕たちは胃袋を量的に満たすだけでは不満を感じることもあります。

たとえば、お腹が空いているときに自分が嫌いな料理を食べても、確かに空腹は紛れますがどこか完璧に満足したとは言い難いでしょう。

もっと言えば、たとえ栄養学的には申し分ない栄養素とエネルギーを摂取できるサプリメントがあっても、それを摂取しても空腹は満たされなかったりします。

これとは逆に、ものすごくお腹が空いている時は、栄養もエネルギーもゼロのただの水を飲んでもお腹が満たされることもありますよね。

つまり、「食欲」と一概に言っても、そこには「美容や健康への欲求」や「味覚的な満足への欲求」や「栄養摂取以外の満足への欲求」などといった、実に様々な欲求が含まれているんです

 

もちろん、食欲のなかに他にどんな欲求が含まれているのかは人それぞれ。

しかし、高度な動物として発達した僕たち人間は、食欲一つとってもそれがただ単に身体的欲求に限った話ではなくなっているということですね。

いわんや、幸か不幸か物質的にも経済的にもかなり恵まれた環境下で生活できている僕たち日本人は、特にこの辺りが複雑になっている傾向があると思います。

そういった意味では、もしかしたら「お腹が空いたからご飯が食べたい」という気持ちが湧いてきても、それは実は他の欠乏感を埋めようとしているのかもしれないのです。

 

実際、拒食症などはこの辺りがうまく機能しなくなってしまっているケースとも捉えることができるのかもしれません。

そうでなくても、お腹いっぱいご飯を食べても心が満たされないという経験をしたことがある人は少なくないのではないでしょうか。

あるいは、核家族化と言われて久しい昨今、「個食」や「孤食」という単語すら少し古くなっているほど一人で食事をするのが当たり前になっている現代は、食事を誰とも共にしないことで精神的な満たされなさを感じている人も珍しくないと思います。

つまり、「食事」という行為自体を遂行できたとしても、必ずしも精神的欲求が満たされるわけではないし、身体的欲求に関してもただ栄養素を補給するだけでは満たされないのです。

 

ちなみに、これは睡眠欲や性欲にも同じことが言えますね。

時間的には十分寝ているのに、なんだか疲れがとれなかったり気持ちがスッキリしなかったり、逆に短時間の睡眠でもすごく良く眠れて充実した気分で起きられることもあります。

つまり、睡眠についても、量と質の両方の側面から精神的な満足と肉体的な満足を捉えることができるのです。

 

性欲だって、たとえオーガズムを迎えられて肉体的には満足できたとしても、心は満たされないことは往々にしてあります。

このような意味でも、性行為には「種の保存」を筆頭に、「愛情表現」や「一体感」や「安心感」「安らぎ」といったような身体的欲求ではない心の満足という目的があるのです。

つまり、性欲というものも、精神的欲求と身体的欲求の両方の側面から話をすることができるんですね。

 

また、マズローの欲求階層において生理的欲求に続いて下から2番目に据えられている「安全の欲求」に関しても、これらと同様のことが言えます。

平たく言えば、身体的な安全と精神的な安全の2つの側面が「安全の欲求」にはあるのです。

 

たとえば、頑丈な家に住んでいたとしても、たしかに雨風は凌げ身体的な安全は確保できますが、もしセキュリティが脆弱であればドロボウが入る心配が生じ、精神的な安全にはなりません。

これとは逆に、仮に公園の一角でダンボールで作った住まいで生活していても、身体的な安全は完璧ではなくとも精神的には安心感を感じられているというケースもあるでしょう。

こういった意味でも、何かしらの欲求というのは一様に2つの側面から捉えることができるんですね。

つまり、言ってしまえば、どこをどう切り取るかで、それが「何欲求」なのかは変わってくるということです。

だからこそ、僕たちは自分の欲求が本当は何に基づいていて、それがどんな姿をしているのかを自分自身で正しく理解する必要があるのですね。

 

そして、何を隠そう、そのときにとても参考になるのが、マズローの提唱した欲求階層とそこに含まれる5つの基本的な欲求なんです。

 

3.マズロー心理学における両者の違い

マズロー

 

さて、精神的欲求と身体的欲求の概要と、そもそもの欲求の捉え方が把握できたところで、最後に、人間の欲求を研究するプロフェッショナルであり、世界一の欲求の専門家と言っても過言ではないマズローがこれらの欲求について何と言っていたのかを紐解いていきましょう。

 

ここではまず最初に結論から言うと、マズローは欲求階層において上位に位置する欲求と下位に位置する欲求のそれぞれの特徴を説明するときに、「精神的欲求」と「身体的欲求」という切り口を使っていました。

つまり、欲求階層上の上位の欲求と下位の欲求の違いを明確にする手段として、「精神的欲求」と「身体的欲求」という視点を用いていたということですね。

この説明だけだと分かりにくいので、もう少し具体的な話をしてみましょう。

 

マズローは、欲求階層に含まれる5つの欲求を、下から順番に「生理的欲求」「安全の欲求」「所属と愛の欲求」「尊重の欲求」「自己実現の欲求」という名前で分類し、人間の欲求を研究していました。

そして、全体的な傾向として言えることが、下位に位置する欲求は身体的な性質が強く、逆に上位に位置する欲求は精神的な性質が強いと考えていたんです。

つまり、5つの欲求を比べたときの概ねの傾向として、上位の欲求であればあるほど精神的なものであり、下位であればあるほど身体的な欲求であるとマズローは考えていたということです。

 

ちなみに、これと合わせて下位に位置する欲求は「物質的な欲求」でもあるとも説明しています。

 

さてさて、ということで、この物質的欲求の話も含め、ここからの詳細な内容は別のコラムで分かりやすくまとめていますので、「精神的欲求と身体的欲求の違いを更に詳しく知りたい!」「自分の欲求をもっとしっかり理解したい!」という方は、下記リンクからこの続きをお読みいただければと思います。

 

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