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ブラックオーシャンの本当の意味とは/マズロー心理学的なレッドとブルーとの違い

ブラックオーシャンの意味とは
自己紹介

 

主にビジネスの世界で最近になって見聞きする機会が増えてきた「ブラックオーシャン」という言葉ですが、その本当の意味とはどのようなものなのでしょうか?

一般的には、「ライバルのいない独占市場」という説明が多いようです。

しかし、今回はこれとはまったく違った視点から、マズロー心理学的な解釈でブラックオーシャンを紐解いてみたいと思います。

この視点でブラックオーシャンへの理解を深めると、自分の目指すべき仕事の方向性が深い部分で見えてくるかも!?

 

1.一般的なブラックオーシャンの意味

ブラックオーシャンの意味とは

 

冒頭でも触れたように、一般的なブラックオーシャンの意味とは、マーケティング的な意味で「深海に眠る独占市場」といったような説明が多いようです。

これは、レッドオーシャンを「ライバルや競合が多い激戦市場」とした際に、「まだ競争相手や競合他社がいない安全な市場」という意味でブルーオーシャンを定義した際のブラックオーシャンの捉え方ですね。

そのうえで、ブルーオーシャンというのは時間の経緯によってレッドオーシャンになってしまう可能性がある一方で、ブラックオーシャンはそのような危険性がないという説明がなされています。

つまり、ブラックオーシャンとはある種の「未開拓市場」と捉えることもでき、ライバルの新規参入の壁が高いという特徴があるため、「マーケティングにおいてはブラックオーシャンが穴場なので、ビジネス成功の秘訣はブラックオーシャンにあるよね」という理論が成り立ちます。

これは、実際分かりやすい意見ですし、確かに新しい可能性が見えてくる気もします。

 

しかし、個人的にはブラックオーシャンをこれとは違った視点で解釈したほうが、もっと自分にとって望ましい仕事を見つけることに繋がると思うんですよね。

言い換えれば、自分が成すべき仕事や参入するべき市場を見つけるためには、ブラックオーシャンという言葉を先程のものとは異なる視点でとらえる必要があるということです。

そして、その異なる視点というのが、マズロー心理学における「自己実現」というキーワードからブラックオーシャンを捉えることです

この視点でブラックオーシャンの意味を紐解くと、一般的なブラックオーシャンの解釈が、実は深海ザメがたくさん泳ぐ危険な海であったことに気付けるかもしません(笑)

 

ということで、少々マニアックなマズロー心理学的解釈で、ブラックオーシャンについて紐解いていきましょう。

 

2.マズロー心理学的なブラックオーシャン

 

さて、ここではまず結論から言うと、マズロー心理学的な解釈でブラックオーシャンを定義すると、それは自分を中心に据えた上で、その自分を深く深く掘り下げることで見えてくる唯一無二の市場という意味になります。

言い換えれば、「自分が本当に望んでいること」「最もやりがいや生きがいを感じること」を突き詰めることで見えてくる市場がブラックオーシャンだということです。

これをもう少し違った言い方で言えば、自分にとっての「心の底からやりたいと思っている仕事」「この人生で本当に成すべき仕事」「一番熱意をもって夢中になって取り組める仕事」を深く掘り下げることで見えてくる仕事というのは、自ずとブラックオーシャンになっていると言っても良いかもしれません。

つまり、この世界に二つとない自分の人間性・個性・才能を突き詰めていけば、それは自然と競合など存在しないたった一つの市場になるということですね。

 

実際、業界やジャンルや職種を問わず、社会において本当に価値あるものを提供している人というのは、自分のオリジナルを歪めることなく生きている人々です。

そして、実はマズローが語る自己実現とは、まさにこのことだったりもします。

 

マズローは、人間には誰しも「自己実現の欲求」が眠っているとした上で、その欲求を「自分らしく生きたい!」「自分の可能性を思う存分に発揮したい!」というものであると説明していました。

言うなれば、僕たちは必ず自分だけのオリジナリティを活かして人生を謳歌したいという気持ちを内側に秘めていて、それを表に出すことを望んでいるのですね。

マズローは、そのことを指し「自己実現」と呼んでいたのです。

言い換えれば、自己実現をすることは、ブラックオーシャンで生きることと同義であると捉えることもできるのです

 

実際、マズローが自己実現している人々に見出した特徴の一つに、彼らが皆一様に自分の個性を発揮しオリジナリティ溢れる仕事をしているというものがありました。

なおかつ、これとは対照的な、誰にでもできるような仕事や自分を押し殺すことでなされる仕事というのは人の心を不健康にし、結果的にその人の人生を台無しにしてしまうともマズローは述べています。

一方で、自分のブラックオーシャンを見つけ、それを極めることを仕事にしている「自己実現の欲求」で生きている人々というのは、心理学的に理想的な健康状態であるだけでなく、社会ともうまく調和し、楽しみながら充実した心持ちで豊かな人生を謳歌しています。

 

そういった意味では、僕たちは自己実現という切り口で自分のブラックオーシャンを見つけ、それ仕事にすることで競争や勝ち負けという基準を超えたところで生きることが出来るのですね

むしろ、競争や勝ち負けにこだわりすぎると、心は栄養不足に陥り、結果的に仕事でも本質的な成果を継続して出し続けることはできなくなってしまいます。

だからこそ、レッドオーシャンやブルーオーシャンという競争の世界観の延長線上で語られる意味でブラックオーシャンを探すのではなく、もっと本質的な自分の心に根差した意味においてブラックオーシャンを探すことで、人生は長きにわたって実りあるものになってくれるのです

 

というか、「競争」や「戦場」という世界観でブラックオーシャンを捉えると、その本質を見誤ってしまい、そのようなパラダイムでブラックオーシャンを見つけたとしても、本当に自分が望んでいる人生を生きることには繋がっていません。

言い換えれば、一般的な世界観でブラックオーシャンにたどり着いても、そこはいつかは深海ザメがウヨウヨ泳ぐ場所になってしまうか、あるいはその深海の暗さと寒さで耐えられなくなってしまう可能性がとても高いということです。

すなわち、自己実現におけるブラックオーシャンと、そうではないブラックオーシャンでは、そもそもの根底に据えているパラダイムが違うんですね。

そういった意味では、マズロー心理学における自己実現的なパラダイムをインストールした上で自分にとっての世界でたった一つのブラックオーシャンを見つけなければ、仕事で本当に意味のある成果を上げることはもちろん、しっかりと楽しむ余裕を持ちながら、やりがいや充実感を心から感じられる仕事をすることはできないとさえ言えるでしょう。

 

ということで、続いては「自分だけのオリジナリティあふれるブラックオーシャンを見つけるコツ」について紐解いていきましょう。

 

3.ブラックオーシャンを見つけるには?

 

さきほど、マズロー心理学的なブラックオーシャンを探すことで僕たちは豊かな仕事を成し遂げられると述べましたが、この意味でのブラックオーシャンを見つけることは結構大変です(笑)

自己実現という視点でブラックオーシャンを見つけ出すことは、実際一筋縄ではいきません。

というのも、自分を深く深く掘り下げていくことは苦しいことだったりするからです。

さながら、深海に進むにつれて水圧が高くなり息苦しくなるのと同じ感じでしょうか。

だからこそ、多くの人はそのことをしない代わりに、社会や他人が与えてくれる価値観でものごとを判断するのかもしれません。

いずれにしろ、自分を深く掘り下げない生き方は、表面的な横軸のパラダイムと言えるでしょう。

一方で、自己実現を通して自分を深く深く掘り下げていく生き方というのは、本質的な縦軸のパラダイムですね

これは、「横軸=他人軸」「縦軸=自分軸」と捉えることもできます。

 

ブラックオーシャンの意味

 

冒頭でも触れたように、ブルーオーシャンやレッドオーシャンは一般的に「競争」という世界観で語られるものですが、マズロー心理学的な視点におけるブラックオーシャンはその点においてもこれら二つの海とは違うものです。

社会に流され、周りの変化によって右往左往し迷ってしまうような横軸ふらふらのスタンスではなく、スッと自分の中心に一本の線が通るような縦軸のスタンスで仕事に取り組むことがブラックオーシャンの本質です。

 

この縦軸のパラダイムにおける思考は、横軸パラダイムにありがちな

「勝つ負けるか?」
「優れているのはどちらか?」
「蹴落とされるのは誰なんだ?」
「ライバルはどこにいるのか?」
「負けないためにはどうしたらいいか?」

といったような思考とはまったく違う次元のベクトルです。

 

事実、マズローが語った自己実現している人たちの特徴は、彼らが基本的に争いごとを好まないということでした。

もちろん、彼らも必要に応じて勝負事に挑むことはありますが、それは本当に必要なときだけであり、基本的には彼らは競争や戦いには関心を示しません。

というか、それこそ「レッドオーシャンかブルーオーシャンか?」という競争ありきの見方で社会を捉えても、本当に自他にとって望ましい結果をもたらすことはないということを理解したが故の価値観と言っても良いかもしれません。

 

なおかつ、そもそも勝ち負けや競争というものは、他者ありきで可能になることであり、それは往々にして他者依存や自己喪失を招きます。

平たく言えば、戦場として社会を捉えると、僕たちはどうしても自分軸を見失った人生を生きざるを得なくなってしまうということですね

実際、ほとんどの現代人がこのパラダイムで生きているからこそ、社会の問題は解決しないどころかより複雑で深刻になりつつある側面もありますし、心の健康度で言えば明らかに全体として良好な方向には進んでいないということが言えると思います。

 

いずれにしろ、本当の意味で自己実現を生きている人というのは、その中心に自分を据えた上で社会と調和できているので、マズローが「不健康な社会」と呼んだ社会においても、彼らは自分を見失うことなく「共生」や「共存」や「与え合い」といったような、競争とは真逆の価値観で豊かな人生を生きることができています

 

なお、その背景には、彼ら特有の高い視点から見据えた大きなスケール感をもった世界観があります。

自己実現している人は、一般的な人々よりも、世界全体のありのままの姿を見渡す能力に長けているのですが、そのため、彼らは局所的な争い事の勝ち負けよりも、もっと大局的な視点で全体の繋がりを理解することができており、だからこそ、彼らは無用な争いごとをしないとマズローは語ります。

 

更に言えば、そもそものスタンスも彼らは普通の人とは異なっているんですよね。

マズローいわく、自己実現している人というのは、二分法的なものの見方をしません

分離や対立的な考え方はしないとも言えます。

言い換えれば、「白か黒か?」というような思考法でものごとを捉えないのですね。

いわゆる「トレードオフ」というような、「アチラを立てればコチラが立たぬ」的な二項対立や背反的な価値観ではないとも言い替えられるでしょう。

 

そうではなく、彼らはもっと統合された高い視点で世界を見渡しています。

たとえば、一般的な人々が「偶数か奇数か」に固執しているとしたら、自己実現している人はその二つの要素を統合した「数字」という高い次元でものごとを捉えている感じでしょうか。

あるいは、「自社か他社か」ではなく「両社」という包括的な視野であったり、「日本か他の国か」ではなく「すべての国々」という捉え方であったり、「わたしかあなたか」ではなく「わたしたち」という視点で世界を見ていると言った方が分かりやすいかもしれませんね。

 

いずれにしろ、したがって彼らにとっては「レッドオーシャンかブルーオーシャンか?」ということは大事なことではありません。

それらを参考にすることはあったとしても、あくまで一つのツールとして捉えるくらいで、それを自分がする仕事の中心に据えることはありません。

要するに、「ブルーオーシャンだからやろう!」でも「レッドオーシャンだからやらない!」でもないのです。

そのような視点で自分が取り組む仕事を決めたり変えたりすることはないということですね。

 

そうではなく、自己実現している人は、もっと深くて本質的な部分で自分が従事する仕事を決めます

それは、世間の動向や市場のニーズを無視しているということではもちろんありません。

むしろ、彼らは、マズローが「無邪気な目」と呼ぶ澄んだ瞳でありのままの社会の姿を捉えることができているので、そこに潜んでいる本当の問題点や解決すべき要点もちゃんと把握することができています

 

なおかつ、深い自己理解によって自分という存在の特性や特徴をしっかり理解できてもいるので、それにより自分の仕事と社会の問題解決とをしっかりと結びつけることができます。

むしろ、ブルーオーシャンやレッドオーシャンという自分の外側の要素にばかり目を向け、地に足つかない他人軸で仕事の内容や方向性を決めていては、自分が人生において本当に成すべき仕事は一向に見えてきません。

つまり、自己実現している人はブラックオーシャンに潜ることよって見つけた自分の中心を土台に据えることで、本質的な自分軸で仕事をすることができるのです

 

ちなみに、このことは自己実現している人が世間の評判や名声などにはまったく価値を見出さないこととも関係していますね。

マズローは、自己実現している人はみな同様に社会的な評価を気にしていないという特徴があることに気づいたのですが、これとは逆にブルーオーシャンやレッドオーシャンという自分の中心からはズレた発想で生きていると、周りからの賞賛や承認を求めようとしがちです。

むしろ、そういった他者からの承認を得たいと思っていると、ブルーオーシャンやレッドオーシャンという基準にすがろうとしてしまうのかもしれません。

 

いずれにしろ、それは欲求階層で言うところの「尊重の欲求」が健全に満たされていないが故のことですね。

自己実現している人というのは、自分の「尊重の欲求」がしっかりと満足できているからこそ、自分を中心に据え、本当の自分自身をブレさせることなく、素直な「自己実現の欲求」に基づいて地に足の着いた仕事をすることができています

なおかつ、健全な「尊重の欲求」の満足というのは、自分への尊重だけでなく他人への尊重も可能にするので、彼らは周囲の人も本質的な意味で尊重することができる人です。

だからこそ、固定観念や思い込みで他者を見ることなく、相手のありのままの姿を見ることができるのです。

そして、それは当然、その相手が生きている社会というもののありのままの姿を捉えることにも繋がります

これは、少し前に触れた「無邪気な目」という話とも通じていることですね。

このような意味で、自己実現している人は、自分以外の多くの人々が生きている社会についてもその本当の姿を見てとることができるために、そこに内在している問題も鋭い視点で汲み取ることができるのです。

 

つまり、ここまでの内容を端的にまとめると、自分を深く深く掘り下げることでブラックオーシャンを見つけた人は、その過程で手に入れた「無邪気な目」や、健全な「尊重の欲求」の満足などにより、自分を最大限に活かす形で社会における唯一無二の自己実現を果たしているということです

そう考えると、仕事を通して自分を最も輝かせることができる彼らが、本質的な意味で仕事で成果を出せることも当然のことと言えるのかもしれませんね。

 

また、このことはマズローが語った自己実現している人特有の問題解決能力の高さとも関連する内容です。

自己実現している人は問題に対処しそれを解決する能力が非常に高いとマズローは述べていたのですが、その理由の一つに挙げられるものに、自己実現している人は目的と手段を混同することがないという特徴があります

言い換えれば、彼らは「自分は何のためにこの仕事しているのか?」「そのためには何をするのがベストなのか?」ということを非常に適確に捉えられているということですね。

だからこそ、彼らは問題解決の能力が高いのです。

なおかつ、前述したように、自分が行うべき仕事や自分に向いている仕事が何なのかをしっかりと理解しているからこそ、彼らは仕事における問題を解決する能力も、仕事を通して社会の問題を解決する能力も高いのでしょう。

自分に向いている仕事や自分の能力を最大限に発揮できる仕事についてるからこそ、彼らはそのような人並外れた成果が出せるのですね。

 

そして、これは自己実現的な意味でブラックオーシャンで仕事をしているが故のことだとも言えると思います。

なぜなら、他人の海で仕事をし、「仕事をする理由」や「目的を達成するために必要なこと」などが不明確になると、僕たちはいとも簡単に問題を複雑にし、結果的に解決には至らなくなってしまうからですね。

 

つまり、これらのことも含めて最後のまとめを言うと、ブラックオーシャンとは本当の自分自身を見つけることであり、それは自分に秘めている可能性を最も発揮できる海を見つけるということです

 

そうして見つけた海は、他の人がつくった海とは違った、唯一無二のオリジナルな海です。

だからこそ、競争という世界に引きずり込まれずに、ありのままの自分を謳歌することで、社会において仕事で成果を出し続けることができるのでしょう。

そういった意味では、僕たちはまずは自分を理解することを徹底し、自分という存在を深く深く掘り下げ、自分だけのブラックオーシャンを見つけることが大切なのではないでしょうか。

 

しかも、マズローはそのために必要なエッセンスを様々な切り口で僕たちに伝えてくれています。

その中でも有名なのが「欲求階層」や「自己実現」であり、また一般的にはあまり知られていない「ヨナ・コンプレックス」「高次病」といったようなキーワードも使いながら、本当に多くの角度から僕たちが自分らしく豊かな人生を送るヒントをマズローは教えてくれているんですよね。

したがって、そういったマズロー心理学に眠る宝物をしっかりと見つけ出し、それらを吸収することで、僕たちは自分にとって本当に望ましい仕事をすることができるのだと思います。

 

ご存じのように、「黒」という色はあらゆる光を吸収する色です。

それは、全ての色を吸収しているという意味でもあります。

そんな、ありとあらゆる色を内に秘めている黒色から自分だけのオリジナルカラーを見つけることで、僕たちは自分にしかできない仕事を見つけることができるのでしょう。

 

 

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